アニメ『キノの旅』を新旧比較!新作と旧作はどちらがおすすめ?

アニメ『キノの旅』を新旧比較!新作と旧作はどちらがおすすめ?

みなさんは『キノの旅 -the Beautiful World-』という作品をご存知ですか?『キノの旅 -the Beautiful World-』は、ライトノベル作家の時雨沢恵一先生とイラストレーターの黒星紅白先生のタッグによるファンタジーライトノベル作品です。

実は、この『キノの旅 -the Beautiful World-』はこれまでに二度アニメ化されており、どちらも高い評価を得ていますが、全く違う雰囲気の作品になっています。

そこで今回は、2003年放送のテレビアニメ第1作『キノの旅 -the Beautiful World-』(旧作)と2017年放送のテレビアニメ第2作『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』(新作)の新旧比較をしたいと思います。

『キノの旅 -the Beautiful World-』とは?

『キノの旅 -the Beautiful World-』とは?

『キノの旅 -the Beautiful World-』は、時雨沢恵一(しぐさわけいいち)先生によるライトノベル作品で、イラストは黒星紅白(くろぼしこうはく)先生が担当しています。物語は、旅人のキノと言葉を話すモトラド(二輪車)の相棒・エルメスが諸国を旅して廻り、その先々でさまざまな制度や技術、思想、文化に触れる一話完結型の短編ファンタジー作品です。

『キノの旅 -the Beautiful World-』は、その独特な世界観と物語性、そして多様なテーマの探求によって多くの読者を魅了しています。作品を通じて自己の存在や社会について深く考えることができるのが『キノの旅 -the Beautiful World-』の真の魅力と言えるでしょう。

『キノの旅』はこれまでに二度アニメ化されている!?

『キノの旅 -the Beautiful World-』は、2003年4月から7月にかけて同タイトルでテレビアニメ第1作が放送され、さらに2017年10月から12月にかけては『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』というタイトルでテレビアニメ第2作が放送されました。

どちらも高い評価を得ていますが、視覚的な美しさやストーリーの深みなど、いくつかの違いがあります。どちらが好みかは、視聴者によって意見が分かれるところでしょう。

また、『キノの旅』に似ているという声が多い作品に『魔女の旅々』があります。『キノの旅』と『魔女の旅々』はどちらも一話完結型のロードムービーで、主人公が旅をしながらさまざまな国を訪れ、その国の文化に触れるという物語です。詳しくは下記の記事をご参照ください。

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『キノの旅 -the Beautiful World-』を新旧比較!

『キノの旅 -the Beautiful World-』を新旧比較!

今回は、2003年放送のテレビアニメ第1作『キノの旅 -the Beautiful World-』(旧作)と2017年放送のテレビアニメ第2作『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』(新作)の新旧比較を大きく4つに分けて行います。「スタッフ・キャスト」、「ストーリー」、「キャラクター」、「美術・演出」の4つです。

スタッフ・キャスト

まず、旧作と新作ではスタッフとキャストが一新されています。旧作では主要人物に俳優が起用されており、その独特な声質や演技が旅人の異質感を際立たせています。一方、新作では旧作の最終話でサクラを演じた悠木碧さんを中心に主要人物に声優が起用されており(2016年に放送されたラジオドラマでも担当)、その安定感は抜群です。

主なスタッフ・キャストの新旧比較

スタッフ

  • 監督:(旧)中村隆太郎→(新)田口智久
  • 脚本:(旧)村井さだゆき→(新)菅原雪絵
  • キャラクターデザイン:(旧)須賀重行→(新)アミサキリョウコ
  • 音楽:(旧)酒井良→(新)出羽良彰
  • アニメーション製作:(旧)A.C.G.T→(新)Lerche

キャスト

  • キノ:(旧)前田愛→(新)悠木碧
  • エルメス:(旧)相ヶ瀬龍史→(新)斉藤壮馬
  • シズ:(旧)入江崇史→(新)梅原裕一郎
  • 陸:(旧)大塚芳忠→(新)松田健一郎
  • 初代キノ:(旧)井上和彦→(新)小野大輔

なお、原作ではキノの声は「少年のような、そして少し高い声」と描写されており、新旧どちらもそれを忠実に再現しています。強いて言えば、旧作のキノは素朴な声をしているのに対し、新作のキノは洗練された声をしています。一方、エルメスの声は「さらに若い感じのする、男の子のような声」と描写されており、新旧どちらもそれとはややかけ離れています。

また、新作では原作者の時雨沢恵一先生が脚本監修に参加しており、原作イラスト担当の黒星紅白先生もキャラクターデザインの監修やゲストキャラクターの原案を担当しています。田口監督曰く、キャラクターデザインを現在の黒星紅白先生の絵に合わせたのが旧作と差別化できている一番のポイントだそうです。たしかに、旧作はどちらかと言うと初期の黒星紅白先生の絵に近いと言えるでしょう。

ストーリー

旧作は全13話、新作は全12話ですが、どちらも基本的に一話完結で時系列もシャッフルされています。また、どちらも原作の世界観を崩すことなく見事にアニメ化されています。なお、新作と旧作には共通のエピソードがあり、同じエピソードで違う雰囲気を味わうことができます。

新旧共通のエピソード

  • 『大人の国』:(旧作)第4話→(新作)第11話
  • 『コロシアム』:(旧作)第6-7話→(新作)第2話
  • 『優しい国』:(旧作)第13話→(新作)第10話

新作では、原作15周年を記念して行われた「人気の国」投票の結果をもとに読者からとくに人気の高かったエピソードが採用されており、エピソードの選定には原作者の時雨沢恵一先生も加わっています。「シズと陸」「師匠と相棒」が主人公のエピソードが含まれているのも、旧作とは異なる点です。

ただし、ストーリーの描かれ方に関しては好き嫌いが分かれるようで、新作は色々なエピソードを詰め込んでいる分、どうしても1つひとつのエピソードが割愛されて薄くなってしまい、どちらかと言うと旧作の方が丁寧に描かれています。作品を通じて自己の存在や社会について深く考えることができるのが『キノの旅 -the Beautiful World-』の魅力でもあるので、その点では旧作の方が新作よりも作品に浸る余裕があると言えるでしょう。

とくに賛否を呼んでいるのが『コロシアム』の回で、旧作では前後編の2話構成だったものが新作では1話完結になっています。旧作では感じられた張り詰めた空気が新作ではあまり感じられず、物足りなさを覚えたファンもいたようです。全体的にも新作はあっさりとした印象です。

キャラクター

先ほども述べたように、旧作のキャラクターデザインは初期の黒星紅白先生の絵に、新作のキャラクターデザインは黒星紅白先生がキャラクターデザインの監修を行っているだけに現在の黒星紅白先生の絵に近くなっています。また、旧作と新作では主要人物の声優が一新されており、旧作では異国を訪れた旅人の異質感を出すために俳優が起用されていますが、新作では実力派の声優が起用されています。

他の違いとしては、旧作では主人公は「キノとエルメス」の一組だけですが、新作では他にも「シズと陸」「師匠と相棒」が主人公として登場します。「キノとエルメス」の二人を深堀りしたい場合は旧作、他の主人公も見てみたい場合は新作を選ぶとよいでしょう。

アニメーション

新作は鮮やかな色彩が特徴で、前作よりも現代的な作風となっています。また、新作ではエルメスにCGが使われており、エルメスのモデルであるブラフシューペリアS100の質感が細部まで表現されているのも魅力の1つです。ほかにも、新作では国の違いを表現するために1話ごとに美術監督や美術制作会社を変更したそうで、視聴者も異国の地を訪れた気分を味わえるようになっています。

一方、旧作はくすんだ色彩が独創的で、その独特なフィルム感が原作の寓話的な世界観をうまく表現しています。視覚的な美しさを求めるなら新作ですが、原作の雰囲気や深みを求めるなら旧作がおすすめです。

まとめ

いかがでしたか?『キノの旅 -the Beautiful World-』のテレビアニメは新旧どちらも高い評価を得ていますが、比較するとさまざまな面で違いがあることが分かったと思います。2003年放送のテレビアニメ第1作『キノの旅 -the Beautiful World-』(旧作)がお好きな方は、もしかすると2017年放送のテレビアニメ第2作『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』に少し物足りなさを感じるかもしれません。ぜひご自身の目でお確かめください。

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